この世界じゃ”子捨て”なんてよくある出来事。
大人なんて子犬や子猫を捨てるようにアッサリ子供を捨てしまう。
でも自分は捨てられないと思っていた。
なぜって?それは両親に愛されていたのだから。
捨てられてしまう子は愛されない子供。
――-―愛いされていないカワイソウな子。
私は捨てられない。
愛されているから。
優しいお母さんに優しいお父さんに私は愛されている。捨てられている子とは違う・・・
そう思ってた。あの女がくるまでは。
あんなに仲の良かったお母さんとお父さんが離婚して3ヶ月。
私はお父さんについていった。そこは森・・・樹海といったほうが正しいかな。
樹海の近くに引越した。
その樹海の近くに建てた新居に今は再婚した新しいお母さんが居る。
新しいお母さん。それは優しくて見た目もきれいなお母さん。
だけどそれは化けの皮をかぶった怪物だった。
お父さんの居る前ではいい母を演じ、お父さんが居なくなったらすぐに
『なんでアタシの子じゃないのに面倒みなきゃなんないのよ?』
とブツブツいっている。最初は小声で呟くくらいだったから別によかった。
私には愛してくれるお父さんがいるんだもの。
でもしだいにそれはエスカレートしていった。
普通にお父さんが居るのにそんなことをいいはじめたのだ。
だけどお父さんはそのことにたいして何も言わなかった。何も。
そのまま数日たったある夜中の事だった。
「ねぇなんであの子を家に置いて置くの?!なんでアタシの子でもないのに同じ空間にいなきゃなんないのよ!」
夜中、ふと目が覚めて自分のベッドから降り、下に降りている途中に聞こえてきたものだった。
胸によくわからない痛みが走る。胸が苦しい。
「そうだな。お前の子でもないのにおいておく必要なんてないな。」
おかしい。なんで?なんで?なんで?ナンデ?ナンデナンデナンデ?!
「そうよ!あの女の子って考えただけで吐き気がするわ!!」
「なんであんな女の腹から生まれた子を今まで置いていたんだろうか。」
お父さん?なにをいってるの?ほんの数時間前まで私のこと
かわいいって、愛してるっていってたのに。なんで?なんでそんなこというの?
「俺はここで新しい生活をお前と過ごすって決めていたのに。何もかも新しい生活。
そのためには要はいちゃいけない。もう愛せない。」
『愛せない』・・・そっか、もう私愛されてないんだ・・・いつから愛されていなかったんだろう?
もう意味がわからない。涙が止まらない。
私は溢れる涙を拭きながらベッドに戻った。
イッタイダレ?私のお父さんを変えてしまったのは。
・・・そっか、あの女がお父さんを変えてしまったんだ・・・
すべてあの女のせい・・・
そこから私とお父さんとあの女の人生の歯車はおかしな方へ回り始めた。